はじめくん
正直おじさん
はじめくん
正直おじさん「管理会社に任せるべき?それとも自分で?」で手が止まっているあなたへ
大家になると、わりと早い段階でこの分かれ道に立ちます。
「管理は会社に任せたほうがいいのか、それとも自分でやったほうがいいのか。」
物件を買った不動産屋さんに「うちで管理もやりますよ」と言われるまま委託契約にサインする方もいれば、「たかが数戸に毎月お金を払うのはもったいない」と自主管理を選ぶ方もいます。どちらも間違いではありません。でも、多くの方が「相場が5%くらいだから」という金額の話だけで決めてしまい、”自分は何を買っているのか/何を背負うのか” を分からないまま進んでしまう——ここが、後になってモヤモヤの残る一番の原因です。
私は、賃貸仲介・賃貸管理の現場で20年働いてきました。そのうち賃貸管理では、まさに「委託される側=管理会社の中の人」を長くやってきた人間です。だからこそ、委託を売り込む立場でも、自主管理を礼賛する投資家の立場でもない、真ん中から正直に言えます。この記事では、「管理委託と自主管理は、結局それぞれ何をして・いくらかかって・どういう人に向くのか」を、現場の中身までフラットに並べます。
(※そもそも賃貸経営を何から始めればいいか、という全体像は、「賃貸経営のはじめ方 完全ガイド」でまとめています。この記事はその中の「管理体制を決める」ステップを深掘りするものです。)
問題の本質:これは「損か得か」ではなく「自分の時間をいくらで買うか」の話
はじめくん
正直おじさんまず、いちばん大事な考え方から。
管理委託 vs 自主管理は、「どっちが得か」で比べると必ず判断を誤ります。正しくは「自分の時間と手間を、月いくらで会社に肩代わりしてもらうか」という話です。
自主管理は費用ゼロに見えます。でも、タダではありません。入居者からの深夜の問い合わせ、退去の立会い、原状回復業者との交渉、家賃が遅れた人への督促——これらを全部あなたの時間でやることになります。つまり自主管理のコストは「お金」ではなく「時間と精神的な負担」で払っている、というだけ。
逆に委託は毎月お金が出ていきますが、そのぶんの時間と面倒が手元から消えます。だから比べるべきは「5%は高いか安いか」ではなく、「その5%で解放される時間と気の重さは、自分にとってそれだけの価値があるか」なのです。本業が忙しい人、物件が遠い人、入居者対応でストレスを溜めたくない人にとって、その5%は安い保険料になります。逆に、時間に余裕があって現場が近く、人とのやり取りが苦にならない人にとっては、払わなくてもいいお金かもしれません。
同じ金額でも、人によって「高い/安い」が真逆になる。この視点を持つだけで、判断はぐっとクリアになります。

そもそも「管理委託」で、会社は何をしてくれるのか
判断の前に、委託すると具体的に何が手元から消えるのかを知っておきましょう。中の人として実際にやっていた業務を、正直に並べます。管理会社によって範囲は違いますが、一般的な「一般管理(集金代行+αを含む形)」だと、だいたい次のあたりです。
- 家賃の集金・入金確認・送金:入居者から家賃を集め、確認し、あなたの口座へ送る。遅れた人への督促もここ。
- 入居者からの問い合わせ・クレーム一次対応:「エアコンが効かない」「上の階がうるさい」といった連絡の窓口。夜間や休日の一次受けを含む会社も。
- 退去の受付・立会い・原状回復の手配:解約の受付、部屋のチェック、原状回復の負担範囲の説明と業者手配。
- 入居者募集・審査・契約手続き:空室が出たときの募集、申込者の審査、契約書の作成。※これは「客付け」として別料金や別会社になることも多い。
- 更新手続き:契約更新の案内と書類のやり取り。更新事務手数料が別途かかる会社もあります。
ざっと見て気づくのは、どれも「金額は小さいけれど、放っておけない・タイミングを選べない」実務ばかりだということ。家賃の入金確認は数分でも、毎月必ず発生します。入居者からの連絡は、こちらの都合のいい時間には来てくれません。委託料で買っているのは、この「小さいけど絶えず発生して、しかも待ったなしの雑務」から解放される安心なんです。
自主管理を選ぶと、実際に何が起きるのか
はじめくん
正直おじさんでは逆に、自分でやるとどうなるか。費用ゼロの裏側で、あなたが引き受けることになるのは次のようなことです。
- 入居者の連絡先になる:契約書や物件にあなた(または代理の)連絡先が載り、トラブルの一次窓口はあなた。水漏れや設備故障は時間帯を選びません。
- 家賃管理と督促を自分でやる:毎月の入金チェックと、遅れた人への連絡。督促は精神的にいちばんしんどい仕事のひとつです。言い方ひとつで関係がこじれます。
- 退去のたびに現場が動く:立会い、原状回復の見積もりチェック、業者との日程調整、敷金精算。ここは金額も大きく、入居者ともめやすい山場。
- 募集も自分で動く:空室が出たら、どの不動産会社にどう出すか、条件をどうするかを自分で判断・依頼する。
自主管理が向くのは、ざっくり言うと ①戸数が少ない ②物件が自宅から近い ③本業や生活に時間の余裕がある ④人とのやり取りがそこまで苦にならない ——この条件がそろっている方です。とくに「近い」は効きます。何かあったときに自分で見に行ける距離かどうかで、負担はまるで変わります。
ここで正直に、中の人として一番伝えたいこと。自主管理でいちばん見落とされがちなのは「督促」と「クレーム対応」の精神的コストです。 お金の計算だと「委託料が浮く=得」に見えるのですが、家賃を滞納した入居者に何度も連絡する気の重さ、深夜のクレームで眠れない夜のしんどさは、収支表に出てきません。管理の現場で、ここに疲れて「やっぱり委託します」と戻ってこられたオーナーさんを、私は何人も見てきました。
お金の比較:委託料の「中身」を分解する
金額だけで決めるのは危険、と言いましたが、もちろんお金の目安は必要です。フラットに整理します。
委託した場合にかかるお金(目安)
- 毎月の管理委託料:家賃の5%前後(地域・会社・管理範囲で3〜7%程度の幅。集金だけか、募集や更新まで含むかで変わります)
- 入居者募集時の広告料(AD)や仲介手数料:空室が出て新しい入居者を決めるときに発生
- 更新事務手数料:更新のたびに、別途かかる会社もある
自主管理の場合にかかるお金
- 管理委託料:ゼロ
- ただし、募集は結局どこかの不動産会社に頼むので、募集時の広告料・仲介手数料は委託でも自主管理でもかかります
- そして、目に見えない「あなたの時間」というコスト
ここで注意したいのが、「委託料がゼロ=自主管理は丸ごと得」ではないという点。募集にかかるお金(客付けの費用)は、委託していようが自主管理だろうが、空室を埋めるなら基本的に発生します。自主管理で浮くのはあくまで「毎月の管理委託料」の部分だけ。ここを混同すると「思ったより浮かなかった」となります。
ざっくりした感覚値として、家賃6万円の部屋なら委託料は月3,000円前後。これを「高い」と見るか、「入金確認・クレーム窓口・退去対応・督促を全部やってくれて月3,000円なら安い」と見るか。冒頭の「自分の時間をいくらで買うか」に戻ってくる、というわけです。
中の人だから言える、正直な3つの本音
はじめくん
正直おじさん売る側でない立場だからこそ言える、判断の役に立つ本音を3つだけ。
本音①:「委託=丸投げでOK」ではありません。 委託しても、大家として見ておくべきことは残ります。送られてくる収支報告にちゃんと目を通す、大きな修繕の判断は自分でする、管理会社との「役割の線引き」(どこまでが会社の仕事で、どこからが自分の判断か)を最初にはっきりさせておく。丸投げにして報告も見ないでいると、いつの間にか手残りが痩せていることに気づけません。 委託は「任せる」であって「投げっぱなし」ではない、というのが現場からの本音です。
本音②:良い管理会社かどうかは「対応の速さ」と「報告の丁寧さ」に出ます。 契約前に見るべきは、管理料の安さより「入居者からの連絡にどれだけ早く動くか」「オーナーへの報告がどれだけ具体的か」。入居者の不満は、実は家賃の高さより「対応の遅さ」に一番たまります。対応が遅い会社は、結局それが空室や早期退去という形であなたに跳ね返ってきます。安さだけで選ぶと、この「見えないコスト」で損をすることがあります。
本音③:最初から100か0で決めなくていい。 「1戸目は近いから自主管理、2戸目は遠方だから委託」というように、物件ごとに分けて構いません。あるいは、「まずは委託で回し方を覚えて、慣れてきたら一部を自分でやる」でもいい。大家業は”委託か自主管理か”の二択で一生を縛る必要はなく、状況に合わせて組み替えていくものです。最初の1棟を委託にして、管理会社が何をどうやっているかを間近で学ぶ、というのは実はかなり賢い入り方だと思います。
判断チェックリスト:あなたはどっち向き?
最後に、自分がどちら寄りかをざっくり掴むためのリストです。当てはまるものが多いほうが、今のあなたに合っています。

委託が向いている人
- [ ] 本業や家庭が忙しく、大家業に割ける時間が少ない
- [ ] 物件が自宅から遠い(すぐ見に行けない)
- [ ] 入居者との直接のやり取り・督促・クレーム対応はできれば避けたい
- [ ] 戸数が多く、自分ひとりでは実務が回らない
- [ ] 「月数千円で面倒から解放されるなら安い」と思える
自主管理が向いている人
- [ ] 物件が自宅の近くにあり、何かあれば自分で動ける
- [ ] 大家業にかけられる時間の余裕がある
- [ ] 人とのやり取りや事務作業がそれほど苦にならない
- [ ] 戸数が少なく、まずは自分で仕組みを理解したい
- [ ] 督促やクレーム対応の精神的負担を引き受ける覚悟がある
どちらとも言えない、半々くらい……という方は、「最初は委託して、管理の中身を学びながら、慣れたら見直す」が現実的なおすすめです。委託しながら報告書を丁寧に読むだけでも、管理の勘所はかなり身につきます。
まとめ:金額でなく「自分の状況」で選ぶ
管理委託と自主管理の選択は、「5%が高いか安いか」ではなく「自分の時間・距離・戸数・気質に合うのはどちらか」で決めるものです。委託は月数千円で「小さいけれど待ったなしの雑務」から解放される安心を買うこと。自主管理はその費用が浮くかわりに、時間と、督促・クレーム対応の精神的コストを自分で引き受けること。そして、どちらを選んでも「役割の線引き」と「数字を自分で見る姿勢」だけは手放さないこと——これが管理の現場で委託される側にいた私からの結論です。
正直おじさんは、委託を売る会社の人間でも、自主管理を勧める投資家でもありません。だからこそ、あなたの状況に本当に合うほうを、フラットに選んでほしいと思っています。
このオーナーズクエスト「学ぶ」シリーズでは、賃貸経営を始めるオーナーさんが最初に押さえるべきことを、現場の言葉で一つずつ解説していきます。
- 「うちの場合、委託と自主管理どっちがいい?」——物件の状況を添えてお問い合わせフォームから質問いただければ、記事でお答えします(匿名OK。あなたの疑問が次の記事になります)。
- まず全体像から:賃貸経営のはじめ方 完全ガイド(この記事のピラー)
*※本記事は一般的な賃貸管理の考え方をまとめたものです。管理委託料の相場や契約条件は会社・地域により異なります。個別の契約・税務の判断は、契約内容を確認のうえ専門家にご相談ください。*

コメント