はじめくん
正直おじさん
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正直おじさん賃貸経営とは、アパートやマンションなどの部屋を人に貸して、毎月の家賃を受け取る商売です。ひとことで言えば「大家さんになること」です。
大家さんの仕事は、ざっくり言うとこの4つです。
- 部屋を借りてくれる人(入居者)を探す ※不動産会社に手伝ってもらえます
- 毎月の家賃を受け取る
- エアコンや給湯器が壊れたら直す
- 退去が出たら部屋を整えて、次の入居者を探す
つまり、持っているだけでお金が入ってくる魔法の箱ではなくて、「部屋という商品を貸す、小さなお店」を1つ持つイメージです。だから賃貸「経営」と呼ばれます。
最初に、いちばん大事なことを言います。多くの方は「物件を持っていれば家賃が入ってくる」と思っています。半分は合っていますが、半分は違います。家賃はまるごと自分のものにはなりません。そこから管理の費用・税金・修繕代が出ていき、残った分がやっと自分のもうけです。
お弁当屋さんを想像してください。お弁当が1個600円で売れても、600円がもうけではないですよね。材料費やお店の家賃を引いた残りが、本当のもうけです。賃貸経営もまったく同じで、家賃は「売上」であって「もうけ」ではない——これが、この商売を理解する最初の一歩です。
私は、賃貸仲介・賃貸管理の現場で20年働いてきました。この記事では、賃貸経営の仕組み・お金の流れ・リスク・始め方までをゼロから説明します。読み終えたときに「自分がやるべきかどうか」まで判断できる状態を目指します。
大家さんになる入口は2つ
大家さんになる入口は、大きく2つです。
- ① 買う:マンションの一室や中古アパートを買って始めるケース。これから始める方の多くはこちらです。
- ② 相続する:親のアパートや実家を引き継ぐケース。管理の現場では、これがいちばん多いパターンでした。
どちらの入口から入っても、その先でやることは同じです。この記事の内容は、両方に共通で使えます。
お金の流れ:家賃6万円の部屋を貸すと、手元にいくら残る?
具体的な数字で見るのがいちばん早いです。マンションの一室を家賃6万円で貸した場合の、ひと月のお金の流れの例です。

| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 家賃収入 | +60,000円 |
| 管理委託料(家賃の5%前後) | −3,000円 |
| 建物の管理費・修繕積立金 | −15,000円 |
| 固定資産税(年額を月割り) | −5,000円 |
| 火災保険(年額を月割り) | −1,000円 |
| 残り | 約36,000円 |
家賃6万円に対して、残るのは3万6千円ほど。入ってくる金額の6割前後です。ここからさらに、ローンで買った場合は毎月の返済が引かれます。数年に一度は給湯器の交換やエアコンの入れ替え、退去後の修繕もやってきます。空室の月は、収入ゼロで支出だけが続きます。
はじめくん
正直おじさん※金額は物件や地域でかなり幅があります。上の表は「こういう項目が出ていく」という構造を見るための例だと思ってください。
がっかりさせたいわけではありません。むしろ逆で、この「出ていくお金」を最初から知っていれば、賃貸経営は堅実に回せる商売です。失敗する人の多くは、商売そのものではなく「家賃×12ヶ月がそのまま収入」という計算の勘違いでつまずいています。
→ 利回りの正しい見方は表面利回りに騙されない:実質利回りの計算で詳しく解説しています。
よくある誤解3つ
始める前の方が持ちがちな誤解を、現場目線で3つに絞ります。
誤解①:「不労所得」である
賃貸経営は、何もしなくてもお金が入る「不労所得」ではありません。入居者からの連絡、退去の立会い、設備が壊れたときの修繕判断は必ず発生します。管理会社に任せれば作業は減りますが、「直すか・いくらかけるか・家賃をどうするか」の判断だけは大家さんにしかできません。(あとのメリットの章で書きますが、体制を整えて「手のかからない状態」に近づけることはできます。それでも「何もしない」にはなりません。)
誤解②:銀行がお金を貸してくれる物件=良い物件
はじめくん
正直おじさん「ローンの審査が通ったから、この物件は大丈夫」——これは危ない考え方です。銀行が見ているのは、物件の良し悪しよりも「あなたの年収や勤め先=返してくれそうかどうか」だからです。融資のOKは、物件へのお墨付きではありません。買ったあとに赤字になっても、銀行は助けてくれず、返済だけが残ります。物件の数字は自分で確認する——これが鉄則です(やり方は後半の「始め方7ステップ」で説明します)。
誤解③:入居者さんが住んでいる最中に壊れたものは入居者さんが直してくれるんじゃないの?
逆です。エアコンや給湯器など、設備が普通に使っていて壊れたら、大家さんの負担で直すのが原則です。給湯器の交換なら10〜20万円ほどかかります。入居者に負担してもらえるのは、わざと壊した場合など、ごく限られたケースだけ。設備は消耗品で、「壊れるかどうか」ではなく「いつ壊れるか」の問題です。だから、毎月の家賃から修繕用のお金を積み立てておく必要があります。
賃貸経営のメリット3つ
注意ばかり続いたので、良い面も正直に書きます。
はじめくん
正直おじさん①銀行のお金で、手元資金より大きな投資ができる。株や投資信託は、自分のお金の範囲でしか買えません。不動産は物件そのものが担保になるので、銀行がお金を貸してくれます。貯金の何倍もの資産を動かせる——これは他の投資にはない、不動産だけの強みです。(そのぶん、誤解②で書いたとおり、借りる判断は慎重に。)
②現物資産だから、最悪でも土地と建物は残る。株は会社が倒産すれば価値がゼロになることもあります。不動産は価格が下がることはあっても、土地と建物という「モノ」自体は手元に残ります。
③自分に合わせて、やり方を変えられる。自分で管理して経費をおさえることも、管理会社に任せて手間を減らすこともできます。体制を整えれば「ほぼ不労所得」に近づけることも可能です。仕事や家庭に合わせて設計できるので、会社員のまま続けている人もたくさんいます。
「不動産投資」と「賃貸経営」は何が違う?
はじめくん
正直おじさん言葉が混ざりやすいので整理します。大きな「不動産投資」という枠の中に「賃貸経営」が入っているイメージです。違いは目的です。
| 賃貸経営 | 売買中心の不動産投資 | |
|---|---|---|
| 目的 | 毎月の家賃収入 | 売却したときの利益 |
| やり方 | 長く持って貸し続ける | 安く買って高く売る |
| 立場 | 事業のオーナー | 相場を読む投資家 |
| 向く人 | 安定した副収入がほしい人 | 市況を読んで動ける人 |
初心者がまず目指すべきは、収支が読みやすい賃貸経営のほうです。売却で儲ける手法は、相場を読む力と資金力の勝負になります。
向いている人・向かない人
20年現場にいた実感で、正直に書きます。
向いている人は、数字を見るのが苦にならない人、すぐの結果より長い時間軸で考えられる人、始める前に調べて準備するタイプの人です。賃貸経営は瞬発力の商売ではなく、コツコツ型の商売だからです。
向かない人は、短期間でお金を増やしたい人、物件を自分の目で見ずに買える人、借金があると眠れなくなる人です。とくに最後は大事で、ローンを組む賃貸経営は、精神的な向き不向きがはっきり出ます。
向かないと感じたら、やらないのも立派な判断です。無理に始めた人がその後どうなるかも、現場でたくさん見てきました。
賃貸経営の始め方:7ステップ
やることの全体像です。順番に意味があるので、飛ばさずに進めてください。

STEP1:本で全体像をつかむ。ネットの情報より、まず本を1〜2冊。出版社を通っている本のほうが、内容のチェックが入っているぶん信用しやすいです。全体が見えてから、分からない部分を個別に調べていきます。
STEP2:自分がいくら出せるかを決める。「頭金は何百万円必要ですか」とよく聞かれますが、答えは買う物件の価格で変わるので一律には言えません。先に「自分が出せる上限」を決めるほうが早いです。
STEP3:目標をはっきりさせる。「毎月いくら手元に残ってほしいのか」を決めます。これが決まらないと、物件を見ても良し悪しが判断できません。
STEP4:見る目を鍛える。いちばん効くトレーニングは、投資用の物件を見て「自分ならここに、いくらなら住むか」を考えることです。自分が賃貸に住んでいるなら、自分の部屋が教材になります。この感覚があると、家賃設定の妥当性が自分で判断できるようになります。
STEP5:物件を探して、数字を自分で計算する。ここが最大の関門です。不動産会社から「この物件は家賃7万円取れますよ」と言われても、実際に募集したら5万〜5.5万円でしか決まらないということが普通に起こります。売る側は物件を良く見せたいという構造があるので、渡された想定家賃をそのまま信じてはいけません。近隣の似た部屋がいくらで募集されているかを、自分で確認してください。
STEP6:ローンを申し込む。金融機関によって条件はかなり違います。1行で決めず、複数に当たってください。
STEP7:管理体制を決めて、募集を始める。管理会社に委託するか、自分で管理するか。ここを「なんとなく紹介された会社に」で決める方が非常に多いのですが、物件との距離・戸数・本業の忙しさで正解が変わります。
税金は「3つのタイミング」で発生する
はじめくん
正直おじさん細かい税率よりも、いつ税金が来るかを先に知っておくほうが役に立ちます。
①買うとき:不動産取得税、登録免許税、印紙税など。不動産取得税は忘れたころ(数ヶ月後)に通知が来るので、資金を残しておいてください。
②持っている間:毎年の固定資産税・都市計画税。それと、家賃収入に対する所得税・住民税です。家賃収入は確定申告が必要になります。
③売るとき:売って利益が出たときに、譲渡所得税という税金がかかります。持っていた期間が5年を超えるかどうかで税率が変わります。
税率や特例は条件で変わり、改正もあります。実際の判断のときは税理士に確認してください。「節税になりますよ」という営業トークは、自分の条件で計算し直すまで信じないのが安全です。
よくある質問
Q. 貯金ゼロでも始められますか?
買えるケースはありますが、おすすめはしません。突発の修繕費が出せない状態で始めると、給湯器の故障ひとつで行き詰まります。ある程度の貯金ができてからのほうが確実です。
Q. サラリーマンでもできますか?
できます。管理を委託すれば、日常の対応は会社側が引き受けます。ただし判断だけは自分に残ります。
Q. 何から勉強すればいいですか?
本を1冊読んで全体像をつかむこと。そのうえで、自分の部屋や近所の物件を「自分ならいくらで住むか」の目で見てみてください。知識と現場感の両方が必要です。
Q. 一番怖いのは何ですか?
知識がないまま始めて、騙されそうになっていることに自分で気づけない状態です。空室や修繕は備えれば対処できますが、これだけは自分で防ぐしかありません。
まとめ:まずは「1枚の収支メモ」から
賃貸経営は、正しい知識と準備があれば、初心者でも堅実に回せる商売です。ただし「持っていれば入ってくる」ものではなく、入ってから出ていくまでのお金を設計する事業です。
今日できることを1つだけ挙げます。気になっている物件(相続予定の実家でもかまいません)について、この記事の表をまねして収支メモを1枚書いてみてください。
- 想定の家賃を書く(不動産会社の想定ではなく、近隣の募集家賃を自分で調べた額で)
- 出ていくお金を引く(管理委託料・管理費・税金・保険)
- 残った金額を見る
この1枚が書けた時点で、あなたは「なんとなく大家になる人」から「商売として始める人」に変わっています。
次は実践編へ。始めるときの具体的な手順は「賃貸経営のはじめ方 完全ガイド|失敗しない5ステップ」で、そのまま使える順番に整理しています。
このオーナーズクエスト「学ぶ」シリーズでは、賃貸経営をゼロから、現場の言葉で一つずつ解説していきます。
「うちの場合はどうなる?」——具体的なお悩みは、お問い合わせフォームから質問いただければ、記事でお答えします(匿名OK。あなたの疑問が次の記事になります)。
※本記事は一般的な賃貸経営の考え方をまとめたものです。個別の物件・契約・税務の判断は、現地確認のうえ専門家にご相談ください。

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